手作りのある暮らし

手作りのある暮らし

母の嫁入りを祝うためにと、おばあちゃんがイニシャルを刺繍したベッドカバー、白樺のカゴ、テーブルリネン…。
どんなにモダンな家の中にも、スウェーデンの家庭には世代を超えて受け継がれてきた手作りのものがさりげなく置かれ、
その大半が現役で活躍しています。
古くなったからと買い替えるのではなく、大切だからと仕舞い込むのでもない。
日々の生活で自分たちの傍らに置き、手入れをしながら使い続けることで、さらに愛着が湧いてくるのでしょう。
スウェーデンの人々は、自分を取り巻く大切なものたちを、ゆっくりと愛しながら暮らしています。

思いを受け継ぐスウェーデン文化

思いを受け継ぐスウェーデン文化

スウェーデンには「手仕事」から生まれた文化が多くあります。
もともとは誰かを思いながら手を動かし、生活に必要なものを作っていたものが、民芸となり地方色豊かな文化となっていきました。
ダーラナ地方を代表する木彫りの馬「ダーラヘスト(ダーラナホース)」もその一つ。
ボディに描かれる「クルビッツ」と呼ばれる伝統の植物柄は、今でも不動の人気柄として、さまざまにアレンジされながら愛されています。
また、土地ごとに特色のある民族衣装も、受け継がれていく文化の代表格。
スウェーデンでは正装として様々なシーンで着用され、使い込まれながら愛しい一着になっていくのだとか。
あたたかな思いのこもったものたちに、自分の物語も詰め込んで、また次の世代へと手渡していく…スウェーデンの文化の豊かさを感じます。      

手仕事にチャレンジ!

手仕事にチャレンジ!

「手仕事」の第一歩は、必要なものを自分で作ること。
自分の手にフィットする道具や、洋服・小物など、既製品にはない「ちょうど良さ」が、暮らしの心地よさに繋がります。
ここに棚があるといいのにな、小さめのクッションがあると素敵かも…ふっとそう思ったら、手づくりしてみては?
My mjukページでは、さまざまなハンドメイドのレシピをご紹介しています。また既製品のリメイクなども、おすすめです。
お店に並んでいる物のようにきっちりできなくても、それもまた味になるのが「手仕事」の魅力です。
簡単に手に入れたものとは違う存在感とぬくもりが、私たちの毎日をきっと彩ってくれますよ。

次へ繋げる楽しみを

家具も、インテリアも、洋服も…
手をかけながら使い続けるスウェーデンの人たちは、
そのモノにまつわる歴史や、人の思いを大切にします。
物語が積み重なったモノたちは、やはり美しい――
それを自分が受け継ぎ、次へつなげていくということへの憧れと楽しみは、
自分の人生を愛おしむことにも繋がります。
住まいへの思いも同じこと。
長く愛せる強さと快適を求め続けて辿り着いたスウェーデン住宅の機能美は、
30年、60年、そして100年経っても、色褪せることなく、
たくさんの笑顔を重ねながら受け継がれていきます。       

MADE by HEART 177号 2018年6月発行

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  • スロイド

    スロイド

    スウェーデン語【ウートゥスプリング】
    18歳になると、スウェーデンでは成人の仲間入り。 6月に行われる高校の卒業式は、日本の成人式と同様に、明るいお祝いムードに包まれます。 卒業式はutspring(ウートゥスプリング:外に走り出る)と呼ばれ、社会へ飛び込んでいく第一歩。 「独り立ち」への喜びと大人になる緊張感を胸に、卒業生たちはお祭り騒ぎで街を凱旋します。

  • スロイド

    スロイド

    スウェーデン語【スロイド】
    長い冬、家の中で過ごす時間が多いスウェーデンで、家庭内で行われていた「ものづくり」を指す言葉がスロイド(手仕事)です。 生活用品や衣類、インテリア、おもちゃ…オートメーションが進み、大量生産の世の中になった今でも、 スウェーデンの人たちは「自分でつくる」ことを 愛してやみません。心を込めて、時間をかけて、誰かのために… ずっと愛せるものをつくり出すことは、彼らにとってかけがえのない喜びなのです。

  • ナチュール

    ナチュール

    スウェーデン語【ナチュール】
    森と湖の国スウェーデン。
    人々は「自然と共に」そして「自分自身も自然体で」
    という思いを持って暮らしています。
    自然はみんなのものであり、土地所有者の許可なく
    自然の恩恵を共有できる「自然享受権」という
    独特な権利も認められています。
    生活の一部、生き方の基盤となるキーワードです。

  • ソンマルストゥーガ

    ソンマルストゥーガ

    スウェーデン語【サマーハウス】
    夏を過ごす家—— スウェーデンのサマーハウスは、
    日本の「別荘」とは少し様子が異なる。
    日常の喧騒から離れ、生活の場を自分たちで
    一つ一つ作り上げながら、自然の偉大さを感じ、
    日々の生活に深く感謝する。ここで過ごす夏の時間は、
    スウェーデンの人々の「生きる力」の源となっている。

  • フェンステル

    フェンステル

    スウェーデン語【窓】
    スウェーデンの人たちにとって、
    窓は単なる「開口部」ではない。 光あふれる短い夏と、暗く長い冬がめぐる暮らしの中で、窓は「太陽の入り口」となったのだ。
    個性豊かに飾られた窓辺は、道行く人の目も楽しませ、街を、そしてスウェーデンという国を
    美しく彩っている。

  • ラゴム

    ラゴム

    スウェーデン語【ちょうどよい・ほどほど】
    ex:ほどほどが一番
    ヴァイキングたちが一杯の蜂蜜酒を回し飲みする時に、
    それぞれが自分にちょうどよい量を飲んで分け合った
    “Laget om(ラーゲット・オム)=仲間と分け合う“
    という言葉が語源とも言われる。
    多すぎず、少なすぎず、自分に合った物や量を良しとするスウェーデンの哲学を表す言葉。

  • フィーカ

    フィーカ

    スウェーデン語【お茶の時間、お茶をする】
    ex:お茶にしませんか?
    スウェーデン独自のコーヒーブレイク。コーヒーを
    意味するKaffeがひっくり返ってFikaになったと
    言われている。コーヒーと一緒に軽いパンやお菓子
    がセットになることが多く、スウェーデンの人々が
    大事にしている、心を通わせ合う時間。もちろん一人
    でのフィーカもOK。

  • ミューシグ

    ミューシグ

    スウェーデン語【心地良い場所・空間・時間】
    ex:ああ、ミューシグだね。
    のんびりと、心地よい状態を指します。一人でも、
    親しい人と一緒でも、自分の気持ちに素直になって、
    心の底からリラックス。スウェーデンの人々が大切
    にしている、暮らしのキーワードです。

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