満ち足りていく窓辺
高緯度に位置するスウェーデンでは、冬の太陽は真上に昇らず、その光も細く弱々しい。
だからこそスウェーデンの人たちは貴重な光を有効に使おうと、光の差し込む窓辺を愛し、そこで過ごす時間を大切にする。
特に何かをするわけでもなく、一人のんびりと、ただ光の中で「そこにいる」幸せ。
心と身体が自然のぬくもりで満ちていくのを感じる時間は、まさに生きる喜びそのもの。とびきり贅沢で、幸福な時間だ。
植物と、光と
スウェーデンの人々の暮らしの中には、必ずといっていいほどグリーンが存在する。
森に出掛けたり、ガーデニングを楽しむのはもちろん、家の中でも、自然と触れ合うことを欠かさない。
窓辺にいくつもの鉢植えを並べたり、植物がモチーフとなったテキスタイルを好むのも、光溢れる緑の季節への憧れだと言われる。
待ち焦がれた春がやって来たら、庭の花を一輪、コップに入れて窓辺に飾る――
窓の外に広がる風景とともに、部屋中が生命力で満たされる幸福感は、
長い冬を乗り越えた彼らにとって何よりのプレゼントとなる。
窓辺の展覧会
スウェーデンの街を歩くと、カーテンがない家の多さに驚く。
彼らは季節ごとに素敵な窓辺を演出し、街行く人々の目を楽しませてくれる。
それぞれの家ごとにハンドメイドの小物やモビール、キャンドルなど、個性的に彩られる窓辺。それはまるで小さなギャラリーのようだ。
クラフトマンシップに溢れたお国柄に加えて、長い冬には家で過ごす時間が必然的に増えるスウェーデン。
木枠の窓をキャンバスに、次は何を飾ろうか…創作意欲が刺激されるのも当然なのかもしれない。
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スウェーデン語【ウートゥスプリング】
18歳になると、スウェーデンでは成人の仲間入り。 6月に行われる高校の卒業式は、日本の成人式と同様に、明るいお祝いムードに包まれます。 卒業式はutspring(ウートゥスプリング:外に走り出る)と呼ばれ、社会へ飛び込んでいく第一歩。 「独り立ち」への喜びと大人になる緊張感を胸に、卒業生たちはお祭り騒ぎで街を凱旋します。 -
スウェーデン語【スロイド】
長い冬、家の中で過ごす時間が多いスウェーデンで、家庭内で行われていた「ものづくり」を指す言葉がスロイド(手仕事)です。 生活用品や衣類、インテリア、おもちゃ…オートメーションが進み、大量生産の世の中になった今でも、 スウェーデンの人たちは「自分でつくる」ことを 愛してやみません。心を込めて、時間をかけて、誰かのために… ずっと愛せるものをつくり出すことは、彼らにとってかけがえのない喜びなのです。 -
スウェーデン語【ナチュール】
森と湖の国スウェーデン。
人々は「自然と共に」そして「自分自身も自然体で」
という思いを持って暮らしています。
自然はみんなのものであり、土地所有者の許可なく
自然の恩恵を共有できる「自然享受権」という
独特な権利も認められています。
生活の一部、生き方の基盤となるキーワードです。 -
スウェーデン語【サマーハウス】
夏を過ごす家—— スウェーデンのサマーハウスは、
日本の「別荘」とは少し様子が異なる。
日常の喧騒から離れ、生活の場を自分たちで
一つ一つ作り上げながら、自然の偉大さを感じ、
日々の生活に深く感謝する。ここで過ごす夏の時間は、
スウェーデンの人々の「生きる力」の源となっている。 -
スウェーデン語【窓】
スウェーデンの人たちにとって、
窓は単なる「開口部」ではない。 光あふれる短い夏と、暗く長い冬がめぐる暮らしの中で、窓は「太陽の入り口」となったのだ。
個性豊かに飾られた窓辺は、道行く人の目も楽しませ、街を、そしてスウェーデンという国を
美しく彩っている。 -
スウェーデン語【ちょうどよい・ほどほど】
ex:ほどほどが一番
ヴァイキングたちが一杯の蜂蜜酒を回し飲みする時に、
それぞれが自分にちょうどよい量を飲んで分け合った
“Laget om(ラーゲット・オム)=仲間と分け合う“
という言葉が語源とも言われる。
多すぎず、少なすぎず、自分に合った物や量を良しとするスウェーデンの哲学を表す言葉。 -
スウェーデン語【お茶の時間、お茶をする】
ex:お茶にしませんか?
スウェーデン独自のコーヒーブレイク。コーヒーを
意味するKaffeがひっくり返ってFikaになったと
言われている。コーヒーと一緒に軽いパンやお菓子
がセットになることが多く、スウェーデンの人々が
大事にしている、心を通わせ合う時間。もちろん一人
でのフィーカもOK。 -
スウェーデン語【心地良い場所・空間・時間】
ex:ああ、ミューシグだね。
のんびりと、心地よい状態を指します。一人でも、
親しい人と一緒でも、自分の気持ちに素直になって、
心の底からリラックス。スウェーデンの人々が大切
にしている、暮らしのキーワードです。

